NEC PC-9801VXの整備と動作チェック

Image: PC-9801VX Front panel

NEC PC-9801VXの整備と動作チェックにあたって私が行ったことをまとめてみました。もともとはPC/AT互換機に使う5インチFDDが欲しくて、パーツ取りのためにジャンクでPC-9801VXを入手したのですが、ケースを開けたら思ったよりも状態がよかったのでこれを再生することにしました。私自身はリサイクル業者でなければ熱狂的なPC98マニアというわけでもない(と思っている)ので、所詮素人の意見です。

1. 電源を入れてみる

とりあえず本体の電源を入れてみます。後の作業で本体を分解するわけですが、それを組み直す時のミスが原因でシステムが起動しなくなることがしばしばあるので、その時に原因を切り分け易くするために現在の状態を確認します。

ディップスイッチがある機種ではディップスイッチの設定を工場出荷時の設定に戻します。ディップスイッチがない機種ではGRPHキーとSHIFTキーを押しながらリセットするとソフトウェアスイッチを初期化します。詳細は下記リンクを参照。

PC-9801ディップスイッチ・メモリスイッチ設定

FDDなどの細かいチェックは後回しにします。

2. 本体内部を清掃する

本体のパーツを分解して清掃します。分解する前に写真を撮っておくと、後で組み立てる際に役に立ちます。

基本的にはエアーでほこりを吹き飛ばすか、掃除機でほこりを吸い取るだけで十分です。基板の汚れがひどい場合は丸ごと水洗いする方法もあります。扱いには十分注意を払います。

掃除をしつつ、アルミ電解コンデンサーに液漏れがないか確認します。もし液漏れがあればアルコールできれいに拭き取って、後で代替品と交換します。また、内蔵のバッテリー、特にシリーズ前期モデルに搭載されている組電池型のバッテリーは高確率で液漏れを起こしているので要注意。状態がひどければ取り外した方が良いかもしれません。

3. FDDを整備する

FDD内部にほこりがたまっていたりヘッドに汚れがあったりするとディスクの記録面を傷つける原因になるので、使う前に整備しておきます。詳細はこちらを参照。

NEC FD1155D(5.25インチFDD)の整備

4. パーツを元に戻して電源を入れてみる

分解したパーツを組み立てて元の状態に戻し、電源を入れて動作が問題ないことを確認します。

5. メインメモリの厳密なテスト

N88-BASIC(86)のモニタモードには内部メモリ(コンベンショナルメモリ+VRAM)をテストする機能があるので、これを利用します。

N88-BASIC(86)を起動します。本体にHDDを接続している場合は、ディップスイッチSW2-6をONにして内蔵HDを無効にします。「How many files」メッセージが表示されたら何も入力せずそのままリターンキーを押し、「mon」と入力してリターンキーを押します。「h]」と表示されたら「ts」と入力してリターンキーを押します。10分ほど画面がフリーズしますが、内部ではメモリのテストが行われています。メモリのテストが終わると「Test complete!」というメッセージが表示されます。

6. FDDの簡単な動作確認

本体付属のN88-日本語BASIC(86)システムディスク[PC-98H47-MW(K)またはPC-98H49-MW(K)]をFDDにセットして本体をリセットし、BASICが問題なく起動することを確認します。

7. グラフィック機能の動作確認

本体付属のデモンストレーションプログラムディスクをFDDにセットして本体をリセットし、デモが問題なく動作することを確認します。


5インチFDDの駆動音を聞くと心が安らぐあなたはきっと私と同じ病気です。

HDD非搭載モデルの動作確認はこれだけ調べれば十分でしょう。


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