N88-BASIC(86)補足情報
マニュアルに書いてないことを中心に。
○N88-BASIC(86)関連製品
・N-BASIC(86) - PC-9801無印専用オプション
PC-8001に搭載されたN-BASICのPC98版インタープリタ。
PC-9801無印には別売のROM(PC-9807)で提供された。
9801無印以外の機種では非サポート。
・DISK-BASIC(86) - 別売オプション
N-BASIC(86)のフロッピーディスク版インタープリタ。
フロッピーディスクドライブをサポート。
ROMを必要としないため9801無印以外の機種でも利用可。
・N88-BASIC(86) - PC98における標準のROM-BASIC
PC-8801に搭載されたN88-BASICの上位互換BASICインタープリタ。
PC-9801無印から9821シリーズに渡って、ほとんどの機種にROMで搭載された(ただし9821シリーズ末期の一部の機種では省略。)
PC88ではZ80相当のCPUを搭載していたのに対しPC98では8086相当のCPUを搭載していたので、8086対応版N88-BASIC → N88-BASIC(86)。
PC-9801F以降はバージョン表記が2.0のままだがマイナーチェンジが度々行われている。
・N88DISK-BASIC(86)
N88-BASIC(86)のフロッピーディスク版インタープリタ。
日本語処理をサポートしているが、かな漢字変換はできない。
DISK-BASIC(86)と異なり、一部の処理はROM-BASICを利用する。
・N88-日本語BASIC(86) - PC98における標準のDISK-BASIC
PC98でDISK-BASICといえばこれを指す。
N88DISK-BASIC(86)にかな漢字変換を追加。
その代わりにワークエリア(作業用メモリ)がやや減少した。
PC-9800シリーズのフロッピーディスクドライブを搭載する機種に標準で付属した。
・N88-日本語BASIC(86)(MS-DOS版)
PC98のMS-DOS上で動作するBASICインタープリタ。
DISK-BASICとの互換性を保ちつつMS-DOSのシステムを活用するための拡張が施されている。
・N88-日本語BASIC(86)コンパイラ
BASICプログラムをMS-DOS上で動く実行可能形式に変換する。
実行可能形式といっても中身のプログラムは中間言語で表現されており、実行するにはランタイムライブラリが必要。
他にOS/2版インタープリタ、Windows(リアルモード専用)版インタープリタ、PC-98LT専用のN88-日本語BASIC(LT)がある。
また他機種に似たような名前のBASICが数多くあり、例えばシステム20用のN16-BASIC、PC-2001用のN20-BASIC、PC-6001用のN60-BASIC、PC-6601用のN66-BASIC、PC-8001mkII用のN80-BASIC、PC-8201用のN82-BASIC、PC-100用のN100-BASIC、など。
○ROM-BASICとDISK-BASICの違い。
DISKモードBASICによって拡張される機能。
以下N88-日本語BASIC(86)(Ver.6.0)ユーザーズマニュアルより一部引用。
- ディスク装置(フロッピーディスク装置や固定ディスク装置)の制御機能
- 倍精度数値データのための関数(SIN, COS, TAN などの関数)
- AI 逐次変換入力方式、連文節変換入力方式あるいは単文節変換入力方式による日本語入力機能
- 日本語文字列操作のための命令や関数
- DRAW 命令(複雑な図形や描画を行うのに便利な機能)
- 拡張グラフィック機能(中間色の表示が可能)
- 電話制御機能
- モニタ機能
- 拡張画面ハードコピー機能
- マウス用ソフトウェアドライバ(マウスを制御するためのプログラム)の使用
ROM-BASICではディスク装置を扱えないが、カセットテープインターフェイス(PC-9801-03,-13)やRS-232Cを介したファイル入出力は可能。
○DISK-BASIC(N88-日本語BASIC(86))のバージョン
Ver.2.0 - PC-9801F1などに付属
- フロッピーディスク 640KBタイプ 1枚。
- かな漢字変換方式に表示選択変換(KANJI.DIC)をサポート。
- 新たな画面モードやユーザー定義文字などPC-9801Fで追加された新機能に対応。
- 1D/2Dコンバーター(DDconv.n88)を追加。
Ver.3.0 - PC-9801U2,VM2などに付属
- フロッピーディスク 1MBタイプ 1枚。
- かな漢字変換方式に単文節変換(BUNSET.SU)をサポート。
- 辞書メンテナンスユーティリティ(dicmen.n88)を追加。
- 拡張グラフィックモード(4096色中16色表示)に対応。
- ROM-BASICからモニタモードの一部の機能が削除されたことに伴い拡張モニタモードを追加。
Ver.3.1 - PC-9801UV2などに付属
- 拡張電話制御命令を追加。
- 電話管理ユーティリティ(tele.n88)を追加
Ver.4.0 - PC-9801VX2などに付属
- かな漢字変換方式に連文節変換をサポート。表示選択変換を削除。
Ver.4.1 - PC-9801VX21などに付属
- 拡張グラフィックモードでEGCを利用した高速描画に対応。
- ROM-BASICからモニタモードの全機能が削除されたことに伴いモニタモードを追加。
Ver.5.0 - PC-9801UX21などに付属
- フロッピーディスク 1MBタイプ 2枚。
- かな漢字変換方式に逐次変換をサポート。
- 固定ディスクの拡張フォーマットに対応。
- SASI接続の40MBタイプ固定ディスクに対応 (40MB+40MBで計80MBまで利用可。)
Ver.6.0 - PC-9801RA2などに付属
- フロッピーディスク 1MBタイプ 3枚。
- かな漢字変換方式にAIかな漢字変換(KNJAI.DIC)をサポート。
- 単精度実数の平方根演算とべき乗演算を高速化(拡張演算モード)。
Ver.6.1 - PC-9801ES2などに付属
- SCSI接続の固定ディスクに対応 (純正オプションで300MBまで。)
Ver.6.2 - PC-9801DA2などに付属
- かな漢字変換のキー割り当てを変更(従来方式と切り替え可能。)
Ver.6.3
- どの機種にも付属せず別売の単体製品(PS98-4001)として出荷されたバージョン。
- セクタ長512バイトで初期化された固定ディスクに対応。
- PC-9821シリーズではこのバージョンのみがサポートされている。ただし9821末期の一部の機種は非サポート。
- なお、MS-DOS版の最終バージョンはVer.6.2。
○N88-日本語BASIC(86)に付属するマニュアル類について
- プログラミング入門 - BASICシステム・エディタの基本的な使用方法やサンプルプログラムを交えたBASICの機能紹介。約120ページ。
- ユーザーズマニュアル - BASICのシステム・エディタの詳細な解説やユーティリティプログラムの説明など。約350ページ。
- リファレンスマニュアル - 命令・関数別の書式と機能の詳細な説明やサンプルプログラム。約230ページ。
- リファレンスブック - 命令・関数別の書式と機能の簡易説明。リファレンスマニュアルの携帯版。Ver.5.0以前に付属。約60ページ。
- 日本語入力ガイド - 日本語入力機能の使用方法と漢字コード表。Ver.6.0以降に付属。約120ページ。
○N88/MS-DOSファイルコンバータ
DISK-BASICで作成・保存したファイルをMS-DOSで利用するにはN88/MS-DOSファイルコンバータ(PS98-216)を使う。これはMS-DOS上で動作するソフトウェアであり、MS-DOS 3.1(PS98-127)以降ではFILECONVコマンドとして付属する。
変換方法はプログラムファイル(アスキー形式、バイナリ形式)、シーケンシャルデータファイル、ランダムデータファイル、機械語ファイル のいずれかよって異なる。N88-BASICとMS-DOS版N88-BASICとでは同じ中間コードでも意味が異なるものがある。ファイルコンバータではバイナリ形式で保存したプログラムファイルは中間コードを変えずにMS-DOS形式のファイルに変換するため、注意が必要。プログラムファイルはDISK-BASIC上でアスキー形式で保存してからファイルコンバータで変換した方がよい。ランダムデータファイルをシフトJISコードのMS-DOS形式ファイルに変換する際には"FIELD"という入力画面が表示される。ここではレコードの文字データ領域をC、数字データ領域をNとして、"C20,N10,C12,N10"のように入力する。
より詳しい使い方は「N88/MS-DOSファイルコンバータユーザーズマニュアル」を参照すること。