N88-日本語BASIC(86)のメモリスイッチ設定 [PC98]
NECパーソナルコンピュータ PC-9800シリーズ のメモリスイッチの設定方法について。
PC98本体の設定にはディップスイッチまたはシステムセットアップメニュー固有の設定(一部の機種のみ)とメモリスイッチの設定があります。メモリスイッチにはブート順位の設定やコンベンショナルメモリの設定などシステム全体に関わる設定と、N88-BASIC(86)やMS-DOSの一部のソフトウェアでしか使われない設定が混在しています。メモリスイッチは基本的には初期設定から変更を加える必要はありません。主にN88-日本語BASIC(86)の動作をカスタマイズしたいときにメモリスイッチの設定を変更します。
メモリスイッチを設定する方法はいくつかありますが、主に下の4通りになります。
- N88-日本語BASIC(86) (DISK-BASIC)のシステムディスクにあるswitch.n88を利用。
- MS-DOSのSWITCHコマンド(PC98用MS-DOS固有のコマンド)を利用。
- N88-BASIC(86) (ROM-BASIC)のモニタモードのSコマンドを利用。
- MS-DOS上で動作するESWITCH(フリーソフト)を利用。
2番の方法はメモリスイッチの一部の設定(MS-DOSで有効な項目)しか変更できません。
3番の方法はPC-9801VX21(1987年発売)の頃までの機種でしかサポートしていません。具体的にはROM-BASICでEGCによる高速描画をサポートしていない機種です。
PC-9801USなどPC98後期の機種ではN88-日本語BASIC(86)は別売扱いで付属しないため、SWITCHコマンドで設定できない項目を変更するには4番の方法を利用します。
今回は1番の設定方法について詳しく説明します。
1. パソコン本体の電源を入れます。
2. 1台目のフロッピーディスク装置にN88-日本語BASIC(86)のシステムディスクをセットします。1台目のフロッピーディスク装置が使えない場合は他のフロッピーディスク装置でも構いません。
3. 本体にあるリセットスイッチを押します。
4. 自己診断プログラムの後にフロッピーディスクからDISK-BASICが起動します。
画面に「Disk version | How many files(0-15)?」と表示されたら何も入力せずにリターンキーを押します。
DISK-BASICが起動しない原因には次の点が考えられます。
- ドライブに対応していない種類のディスクを使用した。
→ 2HD専用ドライブに2DDのシステムディスクを使おうとした、など。 - ドライブ・インターフェースなどの物理的な故障。
- ドライブまたはディスクの読み取り不良。
- メモリスイッチの設定が正しくない。
→ 標準設定では2DD FD→2HD FD→SASI/IDE HD→SCSI HD→SCSI OD→ROM BASICの順番で起動可能なドライブを探します。この挙動はメモリスイッチの設定で変更できるようになっています。しかし内蔵バッテリ(バックアップ電池)が切れると、メモリスイッチの設定が狂うことがあります。(前期PC98は現在のPCのようなCMOSサムチェック等がないため、バッテリの消耗を検出する機能がありません。)ディップスイッチのSW2-5をオンにして、システム始動時にメモリスイッチの設定を初期化するようにします。
5. 固定ディスクが接続されている場合は「User identifier?」と表示されるので、何も入力せずにリターンキーを押します。
6. カーソルが入力待ち状態になったら「run "menu"」と入力してリターンキーを押します。(「run "switch.n88"」や「load "switch.n88"」「run」でも可)
ちなみにN88-BASIC(86)ではMS-DOSやWindowsとは異なり、コマンド名には小文字・大文字の区別はありませんが、ファイル名には小文字・大文字の区別があります。つまりここで「run "MENU"」とすると「File not found」が返ってきます。
2台目以降のフロッピーディスクドライブにシステムディスクをセットしている場合は、ファイル名の前にドライブ番号を付けます。例えば、2台目のドライブにシステムディスクをセットした場合は「run "2:menu"」や「load "2:switch.n88"」とします。
7. ユーティリティプログラムの一覧が表示されるので、方向キーで「メモリスイッチの設定(switch.n88)」を選択し、リターンキーを押します。
漢字ROM搭載機の場合は下のような画面になります。
漢字ROM非搭載機(PC-9801無印またはPC-9801E)の場合は下のようになります。
switch set menuの画面で[ESC]キーを押すと設定を適用します。
[STOP]キーを押すとメモリスイッチの設定を中止します。
8. 各種項目の設定が済んだらメインメニューで「終了(END)」を選択してリターンキーを押します。
9. 本体にあるハードウェアディップスイッチのSW2-5をオンにして、リセットスイッチでシステムをリセットします。
ただしPC-9801DA(1990年発売)以降の機種では[HELP]キーを押しながらリセットしてシステムセットアップメニューから設定を行います。
万一システムが起動しなくなった場合はSW2-5をオフにしてリセットして、メモリスイッチの設定を初期化します。
以下、漢字ROM搭載機の場合の各メニューのスクリーンショットを載せておきます。
RS-232C(初期設定)
RS-232C(送受信コード)
メモリサイズ
数値演算プロセッサ
CRT 初期画面 色指定(TEXT)
拡張 ボード
画面ハード コピー
立ち上げ装置
Basic Mode
Network Basic