NEC版MS-Windows 3.1のスクリーンショット集 [PC98]

半ばこちらのページを模しています。
ここではNEC PC98について扱っています。PC/AT互換機のWindows 3.1についてはこちらを参照して下さい。
DOS/VとWindows 3.1を動かす [PC/AT互換機]

現在店頭で市販されているWindows 7のパッケージはMicrosoft社製のものしかありませんが、Windows 3.1までは日本IBM、NEC、富士通、東芝などの各社からカスタマイズされたWindowsのパッケージが市販されていました。
NEC PC-9800シリーズまたはその互換機用の日本語MS-Windows 3.1にはMicrosoft版、NEC版、EPSON版が存在しました。これらの違いは次の通りです。
| 発売元 | マイクロソフト | 日本電気 | セイコーエプソン |
| FEP(日本語入力支援システム) | MS IME | NEC AI | WXA |
| 内蔵アウトラインフォント | TrueType 2書体 | TrueType 2書体 FontAvenue 2(5)書体 |
TrueType 2書体 |
| 漢字コード体系 | JIS90 | JIS78/JIS90 | JIS78/JIS83 |
| スキャナユーティリティ | NEC用 | NEC用 | EPSON用 |
| DOSプロンプト | エンハンスドモード | エンハンスドモード | スタンダード/エンハンスドモード |
| 希望価格 | 19,800円 | 21,800円 | 19,800円 |
標準でFEPとして付属するMS-IMEはエー・アイ・ソフトのWXII-Winという市販ソフトが元になっています。初期のMicrosoft Word for WindowsにはバックスのVJE-γが付属しました。当時は様々なメーカーから日本語入力ソフトが発売されており、Windowsに対応したものには先の3つ以外に、ジャストシステムのATOK for Windows、デービーソフトのDFJ-Win、サムシンググッドのKatana、NEC版Windows付属のNEC AIかな漢字変換、WordPerfect付属のWP-IMEが存在しました。一応Windows 3.1まではDOS用のFEPを使うこともできましたが、変換速度やインターフェースの問題がありました。
アウトラインフォントはWindows 3.1標準でMSゴシックとMS明朝が付属。NEC版にはさらにWIFEフォントとしてFontAvenueというフォントが付属し、FD版はゴシックと明朝体、CD-ROM版はそれに加えて丸ゴシック、教科書体、端筆行書体が付属します。WIFEフォントはTrueTypeフォントとは異なり、各フォントに対応したフォントドライバをインストールする必要があるため、現在はほとんど使われていません。
上に挙げたほかにも付属するデバイスドライバなど、細かい部分でいくつか違いがありますが、見た目でわかるような大きな違いはありません。
パッケージ版Windowsは、それが発売される前までに発売された機種しか対応していません。NEC版Windows 3.1の発売は1993年5月です。それ以降に発売された機種では、インストール・起動はできたとしても、その機種に備わっているハードウェアを十分に活用することができない場合があります。例えばウィンドウアクセラレータで画面解像度が1280x1024までサポートされているにもかかわらず、それに対応するディスプレイドライバがないため640x400しか選択できない。サウンド録音再生機能を搭載しているが、Windows上でサウンド機能が使えない、など。
NEC PC-9821シリーズのWindows 3.1プリインストール機では、最近のメーカー製PCのようにリカバリディスクが別売でハードディスクにリカバリイメージを内蔵しています。DOSやWindowsからバックアップツールを起動してリカバリディスクを作成できるようになっています。リカバリイメージのWindows 3.1には、NECのパッケージ版の内容にその機種に対応したドライバや追加のアプリケーション(Windows日本語/英語モード切り替え、ボリュームコントロール、FontAvenue外字エディタ、98ランチ、98プレーヤ、98TV、98カレンダ、など機種により異なる。)が含まれています。
以下、NEC版Microsoft Windows 3.1のスクリーンショットです。
○Windows起動時

プログラムマネージャはいわゆるプログラムランチャーと呼ばれる類のツールで、Windows 3.xだけに搭載されました。Windowsを起動してロゴが表示された後、最初に起動するプログラムです。各プログラムへのショートカットがグループ別に分けてあり、Windows 95以降のスタートメニューのような役割を持っています。
メニューバーから「アイコン」→「Windowsの終了」を選択すると、Windowsを終了してDOSに戻るようになっていました。
○デスクトップ

Windows 95以降でのタスクバーにあたります。実行中のプログラムを最小化するとここに表示されます。Win95以降とは異なり、デスクトップにプログラムへのショートカットを置くことはできません。壁紙を変えることはできます。
○メモ帳

○ライト

Win95以降でのワードパッドと同じです。
○電卓

○カレンダー

○時計

○カードファイル(アドレス帳)

○メディアプレーヤー

機能は非常に貧弱で、標準では動画すら再生できません。別途提供されたVideo for WindowsをインストールすることでAVIなどの動画ファイルを再生できるようになります。動画は別ウィンドウで再生されます。
○サウンドレコーダー

○ターミナル

ダム端末やVT100エミュレーション機能を持つ端末エミュレーター。
もう1台のPC98で実行しているN88-BASIC(86)ターミナルモードにシリアル通信経由にてリモートで命令を実行した結果を表示している。
○コントロールパネル

○画面の色

○画面のデザイン

○キーボード

○マウス

○日付と時刻

○各国対応

○MIDIマッパー

○MIDIチャネル マップ

○エンハンスドモード

○スワップファイルの設定

○ドライバ

○Windowsセットアップ

○ファイルマネージャー

あえてWin95以降で例えるならエクスプローラーに相当するプログラムです。エクスプローラーのアイコン主体の表示形式は、当時のMacintoshのFinderのパクリとか言われていましたが、こちらのファイルマネージャーは一覧表示しかできません。
MacのFinderの操作性には当時から定評があり、サードパーティからNorton DesktopやPubtech File Organizerといった、FinderをまねたWindows用ファイルマネージャー・ソフトが、国内では25000円くらいで販売されていました。
○アプリケーションの切り替え

後のWindowsのタスクマネージャーに相当するプログラム。しばしばこれが元祖タスクマネージャーと言われますが、本当の元祖タスクマネージャーはOS/2のプレゼンテーションマネージャーにあるタスクマネージャーでしょう。
○ヘルプ

○検索

○ファイル名を指定して実行

○MS-DOSプロンプト

○Windows起動時のロゴ画面

Windows 3.1以前はDOS上で「WIN」コマンドを実行することでWindowsを起動していました。この時点ではWindowsはDOS上で動く「オペレーティング環境」という位置付けでした。
○Windows終了時の確認メーセージ

Windowsを終了≠電源を切る。Windows 3.1まではWindows終了の操作をすると、Windowsを終了してWINコマンド実行前の状態のMS-DOSに戻りました。
○フォント選択ダイアログ

○ファイルを開くダイアログ

○色の作成ダイアログ(256色表示)

○色の作成ダイアログ(1677万色表示)

○ペイント

○アイコンエディタ

○プリントマネージャ

○PIFエディタ

○文字コード表

○外字エディタ

○FontAvenue インストール (NEC版のみ)

○登録エディタ (レジストリエディタ)

実行ファイル名はregedit.exeなのでレジストリエディタの前身と言えます。ただ、この時点ではWindowsや各アプリケーションの設定情報はiniファイルにテキストデータとして保存していました。登録エディタは拡張子の関連付けの設定に使われました。
○登録エディタ 開発者用バージョン

○バージョン情報

上はプログラムマネージャーのバージョン情報。次は「ファイル名を指定して実行」で「WINVER.EXE」を実行したときの画面。こちらはMicrosoft版やIBM版も全く同じ表示です。
☆ここからは一部のWindows 3.1プリインストールモデルで利用できるアプリケーションです。
○FA外字エディタ

○ボリュームコントロール

ちなみにWindows 3.1標準ではボリュームコントロールは存在しません。このプログラムはNECオリジナルであり、PC98内蔵サウンド機能に対してのみ使えます。
○プラグアンドプレイ コンフィグレーションユーティリティ

○DOS AP インストーラ

○海外 Windows AP インストーラ

Windows 95以降にあってWindows 3.1にはないツールは、スキャンディスク、デフラグ、リソースモニターがあります。
システム情報(msinfo.exe)はWindows標準では存在せず、Excel 5.0などに付属しました。