PC98固有のDOSコマンドについて
NEC PC-9800シリーズ用MS-DOS固有のコマンドについての情報を簡単にまとめてみる。
機種共通のDOSコマンドについては他のサイトに詳しい解説があるのでそちらを参照してほしい。ここではNEC PC-9800シリーズ用のMS-DOSのみで利用できるコマンドを挙げている。
○MS-DOSを使う上で最低限知っておくべきコマンド
これはPC98に限らない話だが、MS-DOSを使うなら以下のコマンドは知っておくべき。
機能 | DOSコマンド |
ディスクをコピーする | DISKCOPY |
ディスクをフォーマットする | FORMAT |
ファイルとディレクトリの一覧を表示する | DIR |
ファイルをコピーする | COPY |
ファイルをディレクトリを含めてコピーする | XCOPY |
ファイルを削除する | DEL(ERASE) |
ディレクトリを作る | MD(MKDIR) |
ディレクトリを削除する | RD(RMDIR) |
カレントディレクトリを変更する | CD(CHDIR) |
テキストファイルの内容を表示する | TYPE |
テキストエディタを使う | SEDIT |
テキストを1画面ずつ表示する | MORE |
CONFIG.SYSを作成・更新する | CUSTOM |
システムの日付を取得・設定する | DATE |
システムの時刻を取得・設定する | TIME |
赤で示したコマンドはPC98独自の仕様になっている。それ以外のコマンドは機種共通の仕様であるためここでは解説しないが、使い方を知っておくとMS-DOSマシンやコマンドプロンプトで役に立つだろう。
○PC98版MS-DOS固有のコマンド一覧
MS-DOSの様々なバージョンの資料を参照して情報を統合したため、バージョンによってはサポートしないコマンドやスイッチがある。MS-DOS Ver.3.1以降では多くのコマンドでメニュー選択方式による操作が可能なため、通常は書式やスイッチを覚える必要はない。「メニュー」の項にメニュー選択画面のスクリーンショットを掲載してある。MS-DOS Ver.6.2のサードパーティ製ユーティリティ(Arcada Backup、Double Space、MAXLINK、ウイルスバスター98)に関連するコマンドは除いた。
AVGDRV | |
機能 | 拡張グラフィックドライバを組み込む |
書式 | AVGDRV [/E] [/C] [/S] [/R] |
補足 | PC-9821シリーズの256色グラフィック機能に対応するライブラリ。 組み込んでも単体では何も処理をしない。対応するアプリケーションが必要。 |
AVSDRV | |
機能 | 拡張サウンドドライバを組み込む |
書式 | AVSDRV [/E] [/F] [/P] [/R] |
補足 | PC-9801-86相当のPCM・FM音源に対応するライブラリ。 組み込んでも単体では何も処理をしない。対応するアプリケーションが必要。 |
BATKEY | |
機能 | メッセージを表示してキー入力を要求(バッチコマンド) |
書式 | BATKEY [0|1|2] [メッセージ] |
補足 | 0は数字キー、1はY/Nキー、2はすべてのキーで入力待ち。 入力キーはERRORLEVEL変数に数字(0-9)、0(Y)、255(N)、またはアスキーコードで代入される。 |
COPY2 | |
機能 | ハードディスクとフロッピーディスクとの間でファイルをコピー |
書式1 | COPY2 ファイルパス [ドライブ:] |
書式2 | COPY2 ファイルパス [パス] /R |
補足 | サイズの大きいファイルをフロッピーディスクに分割コピー(退避)、またはそれを復元するコマンド。 ファイルをフロッピーディスクに退避するとき、フロッピーディスク内の全てのデータは削除される。 |
COPYA | |
機能 | 補助入出力装置との間でデータファイルをコピー |
書式1 | COPYA |
書式2 | COPYA [/B] AUX ファイルパス |
書式3 | COPYA [/B] ファイルパス AUX |
メニュー | |
補足 | 2台のPCの間をRS-232Cリバースケーブルで接続することでファイルを転送できる。 |
CUSTOM | |
機能 | CONFIG.SYS(環境設定ファイル)を作成・編集 |
書式 | CUSTOM [ファイルパス] |
メニュー | |
DICM | |
機能 | NECかな漢字変換の辞書ファイルのユーザー登録単語を登録・編集 |
書式 | DICM [ファイルパス] |
メニュー | |
DISKCOPY | |
機能 | ディスクをコピー・照合する |
書式 | DISKCOPY [ドライブ:] [ドライブ:] [/V] |
メニュー | |
補足 | MS-DOS Ver.3.3以降ではハードディスクのコピーはサポートしていない。 1FDD構成でもVer.5.0A-HならFDNCOPYコマンドによって早くコピーできる。 |
DUMP | |
機能 | ファイルの内容を16進数と文字で表示 |
書式 | DUMP [ファイルパス] [開始アドレス [終了アドレス]] [/D] |
メニュー | |
FILECONV | |
機能 | N88-日本語BASIC(86)とMS-DOSとの間でファイルを交換 |
書式 | FILECONV |
メニュー | |
補足 | DISK-BASICのファイルシステムとMS-DOSのファイルシステムとの間でファイルを転送するコマンド。 もともとN88/MS-DOSファイルコンバータ(PS98-216)として販売されていたが、MS-DOS Ver.3.1以降には標準添付。 |
FDNCOPY | |
機能 | フロッピーディスクを高速で全体コピー |
書式 | FDNCOPY [ドライブ: [ドライブ:]] |
メニュー | |
補足 | DISKCOPYコマンドの高速版。ある程度の拡張メモリやハードディスクの空き容量が必要。 |
FORMAT | |
機能 | 各種ディスク(FD、HD、MO)をフォーマット |
書式1 | FORMAT |
書式2 | FORMAT [ドライブ:] [/S|/B] [/V] [/1|/4|/5|/6|/9|/M] [/P] [/Q] [/U] |
書式3 | FORMAT /H|/E|/F |
メニュー | |
HDUTL | |
機能 | ハードディスクを診断、スキップセクタの代替処理、全体コピー |
書式 | HDUTL |
メニュー | |
INSTAP | |
機能 | アプリケーションをDOSシェルに登録 |
書式 | INSTAP [/M] |
メニュー | |
補足 | 独自の導入プログラムが用意されたアプリケーションを導入する時に利用する。 |
KEY | |
機能 | ファンクションキーや移動キーに機能を割り当てる |
書式 | KEY [ファイルパス] [/S] [/N] |
メニュー | |
MAOIX | |
機能 | iスクリプトを使ってアプリケーションを登録 |
書式 | MAOIX [ファイルパス] |
メニュー | |
補足 | 登録用定義ファイルが用意されたアプリケーションを導入する時に利用する。 |
MENU | |
機能 | メニュー選択方式でコマンドを実行できるコマンドメニューを起動 |
書式 | MENU [ファイルパス] /L |
メニュー | |
補足 | MS-DOS 4.0以降のDOSシェルに相当。メニューの内容はMENUEDコマンドで編集できる。 |
MENUCONV | |
機能 | メニューファイル(*.MNU)に登録されているアプリケーションをDOSシェルに登録 |
書式 | MENUCONV [ファイルパス] [ファイルパス] |
MENUED | |
機能 | メニューファイル(*.MNU)を作成・編集 |
書式 | MENUED [ファイルパス] |
メニュー | |
NECAIKEY | |
機能 | 日本語入力キーの割り当てを変更 |
書式 | NECAIKEY [ファイルパス] |
メニュー | |
PATCH | |
機能 | ファイルの内容の一部を変更 |
書式 | PATCH |
メニュー | |
補足 | オフセットアドレスを指定して変更データを16進数で入力する。 |
RENDIR | |
機能 | 既存のディレクトリ名を変更 |
書式 | RENDIR [ドライブ:]パス パス |
SEDIT | |
機能 | スクリーンエディタを起動 |
書式 | SEDIT [ファイルパス] |
メニュー | |
補足 | メニューベースのテキストエディタ。作成・編集は最大250行までに制限されている。 (Ver.5.0Aでは最大64KBまたは1600行。Ver.6.2では最大約128KB。) |
SETUP | |
機能 | SETUP.INIを使ってアプリケーションプログラムを登録 |
書式 | SETUP [ファイルパス] |
メニュー | |
補足 | 登録用定義ファイルが用意されたアプリケーションを導入する時に利用する。 |
SPEED | |
機能 | RS-232Cインターフェースのパラメータを設定 |
書式1 | SPEED |
書式2 | SPEED ポート番号 ボーレート キャラクタ長 パリティチェック ストップビット長 Xパラメータ |
メニュー | |
補足 | AUXデバイスやCOPYAコマンドを利用する前にこのコマンドでパラメータを設定する。 |
SWITCH | |
機能 | メモリスイッチの設定を変更 |
書式1 | SWITCH |
書式2 | SWITCH [R0 [パラメータ]] [PR [パラメータ]] [MY [パラメータ]] [CR [パラメータ]] [N1 [パラメータ]] [BT [パラメータ]] [N2 [パラメータ]] |
R0 | 9600, 4800, 2400, 1200, 600, 300, 150, 75, B8, B7, PN, PE, PO, S1, S2, XON, NONE |
PR | CEN24, CEN16, DN, DF |
MY | 128K, 256K, 384K, 512K, 640K, 768K |
CR | WE, GN |
N1 | YES, NO, 10, 8, 5 |
BT | STD, 1MFD, 640KBFD, H1, H2, SHD, OD |
N2 | YES, NO |
メニュー | |
USKCGM | |
機能 | ユーザー定義文字を作成・編集 |
書式 | USKCGM [ファイルパス] [/P] [/PS] |
メニュー | |
VFDDRV | |
機能 | 仮想FDドライブドライバ |
書式 | VFDDRV [/R] |
補足 | 仮想FDドライブ機能はFDDが1台しかない環境でハードディスク上にもう1台の仮想的なFDDを作成する機能。 一部の機種にプリインストールされたMS-DOS(Ver.5.0A-H)でサポート。 CONFIG.SYSにデバイスドライバとして記述する。コマンドは/Rスイッチ(仮想FDドライブを削除)のみをサポート。 |
VRAMD | |
機能 | 仮想FDドライブ起動ディスクを作成 |
書式 | VRAMD |
メニュー | |
補足 | 仮想FDドライブからのシステム起動は以下の機種でサポート。 (PC-9821An/Ap2/As2/Bf/Bp/Bs/Be/Cs2/Ce2/Xn/Xp/Xs/Xe/Cb/Cx/Cf/Ap3/As3) |
○サードパーティによるPC98版MS-DOSの解説書
MS‐DOS6.2活用ハンドブック―98ユーザー必携の全コマンド解説+アルファ (PC‐PAGE) | |
フリーディア | |
翔泳社 | |
- | |
アドバンストリファレンス MS‐DOS6.2実践ガイド (アドバンストリファレンス) | |
クリエーター情報なし | |
技術評論社 | |
- | |
MS‐DOS Ver.5.0オペレーティングハンドブック (Microsoft Languageシリーズ) | |
河西 朝雄 | |
技術評論社 |