NEC PC-9801-86 サウンドボード

Image: PC-9801-86 panel

サウンドボードNEC PC-9801-86について。

NEC PC-9801-86
価格 25,000円
メーカー 日本電気株式会社
出荷日 1993年2月
対応機種 NEC PC-9800シリーズ、80286 10MHz以上
対応OS MS-DOS 5.0以降
OS/2 Warp V3, V4
Windows 3.1, 95, 98, NT3.5, 3.51, 4.0
機能概要 OPNA(FM6音、PSG3音、リズム6音、8オクターブ/ステレオ、ADPCM録音/再生機能は利用不可)
PCM録音/再生(最大44.1kHz/16bit/2ch)
入出力 マイク入力(1ch)
ライン入力(2ch)
ミニジャック出力 2ch x 2
DC12V電源入力端子
付属品 サウンドボード
ステレオ用ケーブル x 2
マイクロフォン(PC-9821A-U01)
AVサウンドドライバディスク(5.25" FD x 1、3.5" FD x 1)
ユーザーズマニュアル
備考 他の拡張用スロット全てに+12V電源で動作するボードを実装する場合のみ、別売の外部電源が必要。


PC-9801-86 Sound board
1996年8月製造。PCB識別記号(?)はG8NQY。
"PC-9821 model S1/S2"(1992年10月発売)のサウンド機能を汎用拡張ボードとして単体化したもの。FM音源/PCM録音再生機能を搭載していない"98FELLOW"のオプションボードとして登場。
"PC-98GS"(1991年11月発売)のサウンド機能を単体化した"PC-9801-73"の廉価版とする見方もある。

  1. 外部電源入力の三端子レギュレータ - 必要に応じて"PC-9801-73-AC"(DC12V電源)を接続。
  2. 8連ディップスイッチ - 主にハードウェアリソースを設定する。
  3. NEC 128KB ROM? - "PC-9801-26K"と同一の16KBサウンドBIOSが記録されているはず。
  4. バスコントローラー - 入出力から各ICの制御まで、重要な役割を担うASIC。
  5. YAMAHA YM3433B - PCMデータのLR分離や16bit/18bit変換など。
  6. Burr-Brown PCM61P x 2 - PCM音源部の18bit D/Aコンバーター。
  7. NEC uPC1406HA x 6 - 音量を制御するためのIC。アッテネーター。
  8. Oki 32KB DRAM - PCM音源のFIFOバッファ用メモリ。
  9. FM音源周り、下記参照

写真(ボード表側)では部品が少ないですが、ボード裏側にはおびただしい数の細かい部品が載っています。

パネル
Rear panel
ちなみにボリュームつまみは現在でもアルプス電気の通販より同型の部品が手に入ります。

YAMAHA YM2608(OPNA)
YM2608
手前にある"YAMAHA YM3016"がFM音源部のDAC(デジタル/アナログコンバータ)。
ただしPSG音はこのDACを通っておらず、YM2608内蔵のDACを通して27番ピンからアナログ信号を出力してアナログ回路でFM音とPSG音をミックスしている。故に"PC-9801-26K"と同様、他社の互換品ではFM音とPSG音の音量バランスが崩れることがある。
その隣の"SANYO LC7886M"はFM音源、ライン入力、マイク入力のADC(アナログ/デジタルコンバータ)。
YM2608の奥にある"CN9 AGING"と書かれたピンはテスト用端子(GND,+5V,+12V,-12V)であり、音声を入出力するためのピンではない。

写真だと随分大きく見えますが、YM3016がちょうど10円玉に収まる程度の大きさです。
他の方のおっしゃる通り、無改造だとノイズが入りぼやけた感じの音で音質はイマイチですが、改造を行うとFMPMD等のエミュレーター以上の高音質を得られます (細かいことを言えばその分実機としての再現性が失われてしまうわけですが・・・)

PCM音源部のDAC(Burr-Brown PCM61P、ダイナミックレンジ108dB)
PCM61P
44.1kHz16bitステレオでPCM再生してみましたが、結構いい音が出ます。
隣にある赤い物体は8連ディップスイッチで、これが工場出荷時の設定。

付属のアクセサリー等
Accessories

*購入ガイド

関連製品(NEC製の汎用拡張ボードのみ)

PC-9801-14 1983年12月 28,000円 TMS3631(8和音、4オクターブ)、ミキシング機能有り、
ミニジャック出力 2ch x 1、ボード搭載スピーカー出力、
8086/V30(8MHz)CPUのみで利用可
PC-9801-26 1985年7月 25,000円 OPN、RCA出力 1ch x 1、ミニジャック出力 1ch x 1、
ボード搭載スピーカー出力、内蔵スピーカー出力端子、JOYSTICK x 2、
V30(10MHz)CPU対応
PC-9801-26K 1986年11月 25,000円 "PC-9801-26"と同等、80286CPU対応
PC-9801-73 1991年11月 90,000円 OPNA(ADPCM利用可)、PCM録音/再生(最大44.1kHz/16bit/4ch)、
DSP搭載(エコー、サラウンド効果等)、ライン入力(2ch)、
ミニジャック出力 2ch x 3、内蔵スピーカー出力端子、JOYSTICK x 1
PC-9801-86 1993年2月 25,000円 OPNA(ADPCM利用不可)、PCM録音/再生(最大44.1kHz/16bit/2ch)、
マイク入力(1ch)、ライン入力(2ch)、
ミニジャック出力 2ch x 2、JOYSTICK x 1
PC-9801-118 1995年11月 22,000円 プラグアンドプレイ対応、OPL3(FM20音)、JOYSTICK/MIDIポート追加、
他"PC-9801-86"相当の機能をもつが、公式ではMS-DOS非対応

他社から発売された互換ボードのごく一部

アイドルジャパン
スーパーサウンド10(SS-10)
? 19,800円 "PC-9801-26K"互換(OPN)、RCA出力 2ch x 1、
ミニジャック出力 2ch x 1、ボード搭載スピーカー出力、
JOYSTICK x 2
アイドルジャパン
スピークボード(SP-26)
1991年? 49,800円 "PC-9801-73"のFM音源部互換(OPNA、ADPCM利用可)、
ADPCM録音/再生(最大32KHz/8bit/2ch)、
RCA入力 2ch x 1、RCA出力 2ch(+1ch)、JOYSTICK x 1
Qvision WaveMaster 1995年6月 26,800円 "PC-9801-86"完全互換(OPNA + PCM) + SCSI I/F、
マイク入力、ライン入力(2ch)、ミニジャック出力 2ch x 1、
JOYSTICK x 1、SCSIポート x 1
Qvision MidiMaster 1995年6月 12,800円 "WaveMaster"のオプションボード、
GM互換MIDI音源(OPL4)搭載

株式会社エム・エス・アイによるスピークボード、スーパーサウンド10の広告。

○ディップスイッチの設定 (凡例 : O=Open(オフ), X=Closed(オン))

・8連ディップスイッチ

1 : I/Oポートアドレス
2 : サウンドBIOS ROM(PC-9801-26K相当)使用
3,4 : 割り込みレベル
5 : 割り込み使用
6-8 : サウンド機能識別番号

SW 説明 状態 設定
1 I/Oポートアドレス O 288h-28Eh
X 188h-18Eh
2 サウンドROM使用 O 無効 (切り離す)
X 有効 (CC000h)
3,4 割り込みレベル OO INT0(IRQ3)
XO INT4(IRQ10)
XX INT5(IRQ12)
OX INT6(IRQ13)
5 割り込み使用 O 禁止
X 許可
6,7,8 サウンド機能識別番号
(SW1=X : 4,
SW1=O : 5)
XXX 0(PC-98DO+)
OXX 1(PC-98GS)
XOX 2(PC-9801-73,188h)
OOX 3(PC-9801-73,288h)
XXO 4(PC-9801-86,188h)
OXO 5(PC-9801-86,288h)
XOO 6(PC-9821Nf/Np)
OOO 7(Mate-X PCM)

出荷時の設定 : XXXXXXXO

※サウンド機能識別番号についてはこちらのページの情報を参考にしました。この設定はソフトウェアがサウンドボードの検出に使うものなので、IOアドレスの変更時以外は変えてはいけません。

○PC-9801-86のドライバについて

サウンドボードには5インチ、3.5インチのドライバディスクが付属するが、どちらもMS-DOS5.0用のドライバ(AVSDRV.SYS)が入っているのみ。
サウンドボードのマニュアルにはMS-DOS以外での利用方法が書かれてないので、ここに表でまとめてみた。

製品名 出荷日 ドライバの添付先
N88-BASIC(86),N88-日本語BASIC(86) - サウンドROMを利用するためドライバは不要
(PC-9801-26K相当の機能のみ利用可)
N88-日本語BASIC(86)(MS-DOS版)(Ver6.1)マルチメディア対応 1991/11 機能拡張・追加の制御命令で対応
N88-日本語BASIC(86)(MS-DOS版)(Ver6.2) 1994/01
日本語MS-Windows(Ver.3.0) 1991/02 「日本語MS-Windows(Ver.3.0A)拡張ドライバセット」
日本語MS-Windows(Ver.3.0A) 1991/12
日本語MS-DOS(Ver5.0) 1991/11 サウンドボード付属のドライバディスク
日本語MS-DOS(Ver5.0A) 1992/11
日本語MS-DOS(Ver5.0A-H) - 各OSに付属
日本語MS-Windows(Ver.3.0A-H) -
日本語MS-Windows(Ver.3.0B) 1993/02
Microsoft Windows 3.1 1993/05
MS-DOS 6.2 1994/12
OS/2 Warp V3 日本語版 1994/12
OS/2 Warp V4 日本語版 1996/12
Microsoft Windows NT Workstation 3.5 1994/12
Microsoft Windows NT Workstation 3.51 1995/11
Microsoft Windows NT Workstation 4.0 1996/12
Microsoft Windows 95 1995/10
Microsoft Windows 98 1998/06
Microsoft Windows 98 Second Edition 1999/08

○MS-DOS用ドライバについての補足

N88-日本語BASIC(86)(MS-DOS版)はMS-DOSアプリケーションであるが、BASIC繋がりということで上の一覧に含めた。
MS-DOS用ドライバは多数存在する。そのうちのごく一部を挙げておく。

・拡張サウンドドライバ (AVSDRV.SYS)
NEC純正デバイスドライバ。
MS-DOS 5.0、5.0Aはサウンドボードに付属するドライバディスクを用いる。
MS-DOS 5.0A-H、6.2には同梱。
MS-DOS用には優れた86音源(FM/PCM)再生ソフトが多数登場し、その多くがドライバに相当する機能を兼ね備えていたので、このドライバが使われることはあまりなかった。
次の3つのドライバはAVSDRV.SYSを必要としない。

・FMP
FM音源ドライバ・プレーヤー。
入手先→http://www.vector.co.jp/soft/dos/art/se003498.html

・PPZ8
PCM音源ドライバ。FMPと一緒に利用する。
入手先→http://www.vector.co.jp/soft/dos/art/se022226.html

・PMD
FM音源ドライバ・プレーヤー。
入手先→http://www5.airnet.ne.jp/kajapon/
第2入手先→http://www.vector.co.jp/soft/dos/art/se015682.html

※PnP(プラグアンドプレイ)対応機種での利用

PnPに対応する機種でPnP対応ボードとサウンドボード(PnP非対応)を混用する場合、ボードの組み合わせによっては何らかの不具合が起きることがある。
サウンドボードを実装する際には各機種に付属する「プラグ&プレイサポートソフトウェア」を使って資源(リソース)の設定を行うこと。
コンフィグレーションユーティリティ(Configuration Utility, CU)

○Windows3.0x用ドライバについての補足

Windows 3.0/3.0A/3.0Bでサウンドの録音再生を含むマルチメディア機能を利用するには、別売の"日本語MS-Windowsマルチメディアエクステンション(Ver1.0)"が必要。
Windows 3.1(Microsoft版、NEC版の両方とも)には同等の機能が含まれており、ドライバも付属する。
ドライバの追加(Windows 3.xx)

○Windows 95/98などのPnP対応OSでの利用

サウンドボードがPnPに対応していないためWindows 95/98上であっても自動では認識されない。
Windowsインストール後にサウンドボードを実装した場合はコントロールパネルの「ハードウェアの追加」ウィザードを実行する必要がある。

 

○関連

○更新履歴


QLOOK ANALYTICS